気管支喘息とは
 

気管支の粘膜の慢性炎症がこの病気の本態で、粘膜はぽってり浮いている状態で粘液もたくさん出ているのが一般的です。慢性気管支炎などと違うのは気管支喘息の場合は治療によってほとんど元に戻ることです。慢性気管支炎はほとんど大きな変化はないです。

気管支粘膜の炎症の原因としては、アレルギー(家のホコリやダニや犬や猫の毛やふけなど)、ストレス、大気汚染(ジーゼルの排気ガスなど)があります。ですから、気管支喘息の発症は年々増加傾向を見せています。全人口の2〜3%ぐらいで、日本には約400万人の患者さんがいると考えられています。しかし、継続的に治療されているのは120万人ぐらいです。

気管支喘息の症状
 

気管支喘息の症状の典型的な物は夜中の咳・喘鳴(呼吸のたびに胸でヒューヒューいう)です。昼間は症状が軽いので、よくなったと錯覚してしまいがちです。でも次の夜も咳や喘鳴がひどくなり息苦しくなり、さらにひどくなると横になれなくなります。(つまり座りたがるのです)横になれなくなったら、自分の持っている薬で何とかしようとするのは非常に危険です。すぐに病院へ行きましょう。救急車を呼んでもいいと思います。

(「二日酔いでしんどいねん」と言って救急車で来る方がいますが、こんな方は料金を取った方がいいと思いませんか)

気管支喘息は毎年4000人近くの人が亡くなっています。1995年には7000人以上の方が気管支喘息で亡くなっています。年々少しずつ減少していますがそれでも多いです。これは何とか防がなければなりません。

気管支喘息の中でも、典型的な症状のでないタイプがあります。そればまた別のところでお話しします。

 

気管支喘息の診断
 

気管支喘息の診断は典型的な場合は症状だけで、ほぼ診断がつきます。つまり夜間や早朝に咳や喘鳴が出るということです。普段は全く症状がなく、風邪を引いたときだけ咳と喘鳴が出る方もいます。これは間欠型の喘息といわれ、一番軽症の部類になります。しかし呼吸が止まるような喘息の発作は重症の方だけでなく軽症や中等症の方にも見られます。

鑑別は肺気腫(長年の喫煙者で吸入などの治療で大きな改善はないです)慢性気管支炎(これも喫煙者に多く発作性の呼吸困難の経験はない場合が多いです)やその他心臓病も鑑別しなければなりませんが、喘鳴の出る方はぜひ、専門の病院で検査を受けて下さい。(心エコーや気道過敏性の検査)

 

気管支喘息の治療
 

気管支喘息の治療は15年ぐらい前から大きく変化してきました。それまでは各医師が自分独特の方法で治療していました。使える薬も限られていました。テオフィリン、交感神経刺激剤、ステロイドホルモン、漢方薬、抗ヒスタミン薬などです。

つまり、通院する医院や病院によって治療法がバラバラでした。それが、イギリスやアメリカやカナダなどで標準的治療指針(以下ガイドライン)が作られるようになりました。もちろん日本でも作られました。今も何度か改訂されてより使いやすい物になってきました。

そして、どこの国でも第一に選択すべき薬として、ステロイドホルモンの吸入になっています。ステロイドと聞くだけで嫌なイメージを持つ方が多いかも知れません。特に医療関係者は嫌がります。膠原病やネフローゼ症候群でステロイドを大量に長期間投与されたらどんな副作用が出るか知っているからです。今でも、重症の喘息の方は大量ではないですが内服のステロイドでないと効果のない方がいます。でも少量でも長期(3ヶ月以上)投与すると副作用が出てきます。

しかし、吸入のステロイドは特殊です。気管支の粘膜ではステロイドとして働きます。しかし、血液に吸収されていったん肝臓を通過するとステロイドではなくなります。つまり全身性の副作用が出にくいのです。妊婦さんや授乳中の人でもやめる必要はないと言われています。

もちろん小児でもこのステロイドの吸入が第一選択です。現在4〜5種類の吸入ステロイドがあります。喘息といわれて、この吸入ステロイドが処方されないのは、よほど軽症なのか、その医師が勉強不足と考えていいでしょう。

吸入ステロイドは長期の予防薬です。決まった時間が来たらいわれた量を吸入しましょう。症状が出てから吸入する物ではないのです。

吸入ステロイド以外の治療薬は、交換神経刺激薬の長時間作用型のものが安全で吸入や貼り薬があります。まもなく吸入ステロイドと長時間作用型の交感神経刺激剤の混ざった吸入薬が発売されます。だんだん便利になっています。

他に、抗アレルギー剤が大変進歩して今ロイコトリエン拮抗薬が3種類出ていてこれは今までの抗アレルギー剤と違って、かなり著明に効果がでます。しかし妊娠している方や、これから妊娠しようとする方には処方してはいけない薬です。安全性が確認されていません。しかし小児には使えるのです。ですから、次のように処方されていることが多いでしょう。


 軽症:ステロイド吸入少量+テオフィリンorロイコトリエン拮抗剤

 中等症:ステロイド吸入中等量+テオフィリンorロイコトリエン機構剤+長時間作用型交感神経刺激剤

 重症:ステロイド吸入大量+テオフィリンorロイコトリエン機構剤+長時間作用型交感神経刺激剤+内服のステロイド

 特殊な喘息

運動誘発喘息:これは運動後に喘鳴や咳が出現しひどいときは呼吸困難も出現します。水泳は大丈夫みたいです。

 アスピリン喘息:これは成人の気管支喘息患者の約10〜15%に出現するといわれていますが、アスピリン、ボルタレン、ロキソニンなどの酸性の非ステロイド性消炎鎮痛剤の服用後1〜2時間後に鼻水などを伴い喘鳴が出現することです。時にはひどい発作になり死亡することもあります。30歳〜40歳代で出現しやすく、鼻炎や副鼻腔炎や鼻たけのある方は頻度が高いです。ですから、喘息のある成人は安易に風邪薬(ベンザ・ルル・カイゲンなど)をのんではいけないのです。また整形外科や歯科で痛み止めをもらうときには必ず「私は気管支喘息の治療中です」と言って下さい。

 月経喘息:女性はちょうど月経の時に血中のコルチゾールというステロイドが低下することがわかっています。ですから、この時期だけ吸入のステロイドをいるもの倍まで増量するのがいいかも知れません。私はそのように指導しています。

 アルコール誘発喘息:近年かなり多いことがわかっています。普段は何ともないがビールなど飲むと咳がひどく出たり、喘鳴が出たりします。アルコールを避けるしかありません。

 咳喘息:咳が何週間も続くような風邪はありません。それは別の原因です。たとえば高血圧の薬の副作用とか、逆流性食道炎があるとか(胸焼けを伴うことが多い)、アレルギーによる咳の場合もありますが、特に夜間や早朝に咳が多い方はこの咳喘息を疑われます。これは喘息の治療で咳が消失しますからわかります。

 

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